卒業生の作文

以前はないこと

日本へ来ることができたのは、全く思っていなかったことだ。以前一度日本へ行こうと思ったことがあったが、色々な困難があって、その夢を捨てなければならなかった。そしてたぶん神様のおかげで、私の前にまた夢を叶える道が開かれて、とうとう日本へ来ることができた。
国にいたとき、心配や考えても仕方がないことが次々に出てきた。私は母と2人で暮らしていたが、いつも母に面倒を見てもらっていた。そんな私が1人でどうやって生活するのか。食事はいつも母に任せて料理をしたことがない私がどうやって食事を作るのか。そして祭りのときいつも手伝っていた息子と離ればなれになって、母は1人でたくさんの準備をすることができるのか。何よりも、私が一番心配だったのは、もし母に何か悪いことがあったとき、誰が母を助けてくれるのかということだ。もちろん、私がいなければ、姉や親せきが助けてくれるだろうが、彼らは、いっしょに住んでいないので、すぐに行くことができないだろうと思う。それは今でもまだ消えない不安として私の中にある。
その不安について、一度母に相談したことがある。けれども母が私に「大丈夫ですよ」と言ってくれたので、私は母の言葉をどうで信じて勇気を持って、日本へ来た。そして留学生活が始まった。
日本での生活が始まってから、もう一年半が過ぎた。最初の一年はすごく悪い年になった。コロナという酷いウイルスが日本ばかりでなく、世界中に広がり、私の日本での生活はほとんど家の中で過ごさなければならなかった。仕事や学校へ行く以外は出かけることができなかった。たまに友達と出かけることもあったが遠くの場所までは行けなかった。
2年目同じことの繰り返しになってしまった。ずっとウイルスと戦っていた。その戦いの最中に私はひどく退屈を感じて、やる気をどんどん失ってしまった。でもそんな時は家にいる母のことを思い出した。母のことを考えると、また頑張る気持ちが出てきた。
日本に来てから色々なことを学んだ。人生に役に立つ経験がたくさん得られた。でもその経験をこれからどう使うのか、私はいま考えなければならない。そしてその得た経験をどこで使えばいいのか。日本で使うのか。インドネシアに戻って使うのか。卒業するまでにじっくり考えて決めようと思う。
これは私にとって、以前にはなかった悩みだ。

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