私のこと
私はホーチミン市に生まれました。子どもから社会人までずっとホーチミン市に住んでいました。もちろんホーチミン市で学校にも通いました。
子どもの時、私は大人しい子供でした。友達があまりいないことを別にすれば特別なことはほとんど何もありませんでした。私は音楽と本が好きでした。中学生の時は家から学校までけっこう遠くて、いつもバスで行きました。バスの中で音楽を聞きながら本を読むのが一番好きな時間でした。バスの中で何度も音楽を聞いているうちに、まるでぼやけた映像がだんだんよく見えるようになっていくみたいに、その音楽は私の意識の中でまとまりのようなものを持ってきました。まるで別の世界にいるかのように感じました。
でもバスを下りてしまうと、そのような感じは起こらなかったように完全に消えてしまいました。私は誰にもそのような感じの存在を伝えなかったので、毎朝30分はその世界にたった一人でした。
中学生の時は友達があまりいませんでした。中学生の男の子はサッカーやまんがなどが好きなのが普通でした。だから私がバスの中で音楽を聴きながら本を読むことが好きだということはみんなに変な感じを与えました「こいつはバカだ」とよく言われました。
中学2年生になると、色々なことが変わりました。私は背も高くなったし、声もだんだん変わってきたし、女の子を好きになりました。その女の子の名前はミンと言いました。ミンさんは事故のせいで右の足にちょっと傷がありました。そして何よりミンさんは人目を引かずにはおかないような見事な美人でした。でも私が彼女に最初に出会った時、ミンさんはまだこどもでした。
ある授業で「あなたの趣味は何ですか」と先生に聞かれました。みんなはほとんど「サッカー」や「まんが」などと答えました。私も「サッカーが好きです」と答えました。ミンさんの番になりました。彼女はゆっくりみんなの前に行って(彼女の足に傷があるので)大きい、自信がある声で「私はバスの中で音楽を聴くことが好きです」と答えました。みんなは大笑いしました「お前は足に問題がある。頭にも問題があるんじゃないか」と男子学生がからかいました。その時、彼女はまっすぐに立てませんでした。(たぶん足が痛かったのだと思います)でも、私にはミンさんが一番まっすぐに立っているように感じました。
私は立ち上がって彼女の隣へ行ってみんなに大きい声で「私もバスの中で音楽を聴くことが好きです。さらに音楽を聞きながら本を読む事は最高です」と言いました。
私たちは不完全な存在でしたが、その不完全なことのおかげでおたがいを見つけることができました。私たちの前に、新しい場所がひらけたように感じました。そして私たちは、その新しい場所の前に立ってぼんやりとした光の下で、二人きりでおたがいに見つめ合っていました。
その後、私たちはどんどん親しくなりました。今でもその頃のことはよく覚えています。中学生の時、ミンさんがずっと好きでしたが、勇気がなくて、言えませんでした。高校になると、私と彼女はちがう学校に通うことになりました。その間いろいろなことがありましたが。今はここまでです。高校のことはまた今度のきかいに。とにかく、今でも私とミンさんは親しい友達です。
このエピソードからいろいろなことが学べます。あなたが本当のあなたで生きているなら、あなたはソウルメイトを見つけることができるでしょう。にせものの自分でいることは価値がないと思います。それと、チャンスがまだあるのなら、「好き」と言ってください。もしかしたら明日にはチャンスがなくなってしまうかもしれません。