卒業生の作文

お世話になった日本人へ

 私は日本に来てから、もう一年半くらいになりました。一年半と言うのは留学生としてあまり長くない時間かもしれませんが、私にとって、一番有意義な時間だったと思います。
 大学を卒業するまで、いつも家族に世話をしてもらっていた私が初めての一人暮らしをするのは本当に簡単なことではありませんでした。最初は不安な気持ちで一杯になってしまい、新聞配達のアルバイトで一週間が経っても、なかなか仕事の内容が覚えられませんでした。仕事でもたくさん失敗してしまい、その度に怒られました。これから先、日本でちゃんとやっていけるか不安になってきました。でも私の周りにはいい人が多かったので、前向きに日本でのいろいろな経験を楽しむことができました。いろいろな経験を積むことによって、自分自身が成長したと実感してます。その中でも印象に残っている経験を書きます。
 私は大阪でTOEICの試験を受けたとき、うっかりして、会場とは反対のバスに乗ってしまいました。試験の時間に間に合うかどうかドキドキしました。運転手さんに事情を話すと、彼はとても親切にしてくれました。バスが終点に着くと、バスの駐車場まで送ってくれ、試験場までのバスに乗せてくれました。その上、その運転手さんは運賃を絶対に受け取ってくれませんでした。「あなたは留学生として、今、日本で頑張っていると思います。大変でも最後まで頑張ってください。試験も頑張ってくださいね」と励ましてくれたので、感激しました。そして、とても温かい気持ちになりました。
 その運転手さんのおかげで、無事にTOEICの試験を受けることができ、専門学校の英語・国際ビジネス学科貿易専攻に入れました。私にとって、それは日本でのはじめての成果でした。その運転手さんが助けてくれなければ、専門学校に合格できなかったかもしれません。
 どうして見ず知らずの人が手を差し伸べてくれるのでしょうか。それは一期一会という日本人の考え方ではないでしょうか。
 「一期」というのは仏教の言葉で、人間が生まれてから死ぬまでのことです。一期一会とは出会いは一生に一度だけ、生涯に一度限りという意味です。つまり、人と人との出会いは一度限りの大切なものだということです。出会いは一度だけですが、困まって助けてもらった人はもちろん、親切に助けてあげた人自身も幸福や生きがいを感じるのだと思います。私は日本で困まったことが多いですが、大変なことを乗り越え、経験を積んで、一歩一歩将来の夢へ向かって進んでいると思います。日本人のみんなが親切にしてくれて、心から感謝しています。

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